The Great Realisation 未来から振り返って

English

Hindsight is 20/20 振り返ってみたら、よく見える

コロナウイルスのパンデミックが世界中を不安に陥れるなか、ひとりの青年の詩が、まるで暗闇を手探りでさまよう旅人の前に小さな明かりを灯したかのような希望をもたらしています。

Tom Roberts(トム・ロバーツ)は、イギリスのロンドンに住む26歳の詩人、かつ、映像制作者です。
彼の書いた詩『The Great Realisation』をショートフィルムにした映像が世界中の注目を浴びています。
たった4分の短いビデオですが、Tom Roberts本人がお父さん役を演じ、自作の詩を朗読しています。幼い息子の役は、Tomの7歳の弟だそうです。

その詩の中に、何度も使われることわざがあります。

Hindsight is 20/20.

hind ( ハインド ) とは「後ろの」という意味で、sight は「見ること」ですから、hindsight で「後から振り返ってみると、よく見える」という意味です。20/20は、アメリカの視力検査で”perfect Vision”と言われるくらい視力がいいこと、つまり物事がはっきりと見えることを指しています。

視力を表す20/20と、コロナのパンデミックが起きた2020年が重なっているのも、偶然とは思えないくらいよくできています。

自宅待機、社会的距離、マスクの着用など、”New Normal”といわれる、コロナ後の社会についていろんな不安が広がっています。不安の原因は先が読めないこと、これからやってくる”New Normal”とはどんな生活になるのか予測がつかないからでしょう。2020年以降の生活は、かつての常識が通用しない”New Normal”(新しい平常)が普通になることは確実です。

この『The Great Realisation』は、そんな不安をやわらげ、むしろ希望さえ与えてくれます。
realization の意味は、現状を認識すること、本当のことに気づくこと。 realizeはその動詞形で、はっきり理解する、悟る、という意味です。Tom Robertsはイギリス人なので、アメリカ英語と違ってスペルがrealisationになっています。
意味は、『The Great Realisation』で、『偉大なる気づき』という感じでしょうか。

『The Great Realisation』

場面設定は、コロナのパンデミックから時を経た未来。若い父親とその幼い子どものBedtime Storyのひと時です。
これまで、何度も話して聞かせたので、もうすっかり覚えているはずなのに、また今夜も同じ話をおねだりされるところから始まります。お父さんは、自分がかつて暮らしていた2020年のコロナ以前の世界から語り始めます。

まずは、ビデオをごらんください。

The Great Realisation
A bed time story of how it started, and why hindsight’s 2020. 🛌

The Great Realisation, by Tom Roberts

”Tell me the one about the virus again, then I’ll go to bed”
“But my boy, you’re growing weary, sleepy thoughts about your head.”
“Please! That one’s my favorite. I promise just once more.”

“Okay, snuggle down my boy, though I know you know full well                         
The story starts before then, in a world I once dwelled”

「ねえ、またあのウイルスの話をしてよ。そうしたら寝るから。」
「もう疲れてるでしょ、眠くなるよ。」
「お願い!あのお話し大好きだから。あと一回だけでいいから。」

「わかったよ、ちゃんと布団に入って。もう全部、知ってると思うけどね。
物話は、その前から始まるんだ、お父さんがずっと昔に暮らしていた世界から。」

It was a world of waste and wonder, of poverty and plenty                               
Back before we understood why hindsight’s 2020

You see the people people came up with companies to trade across all lands.
But they swelled and got bigger than we could ever have planned

We’d always had our wants, but now it got so quick.                                               
You could have everything you dreamed of in a day and with a click.

We noticed families had stopped talking. That’s not to say they never spoke.
But the meaning must have melted and the work life balance broke.

And the children’s eyes got squarer and every toddler had a phone.            
They filtered out the imperfections but amidst the noise, they felt alone.

And every day the sky grew thicker, til we couldn’t see the stars.                         
So we flew in planes to find them while down below we filled our cars.

We’d drive around all day in circles. We’d forgotten how to run.                           
We swapped the grass for tarmac, shrunk the parks till there were none.

We filled the sea with plastic cause our waste was never capped.                   
Until each day when you went fishing, you’d pull them out already wrapped.

And while we drank and smoked and gambled, our leaders taught us why,     
It’s best to not upset the lobbies, more convenient to die.

かつての世界は、ムダと驚き、貧しさと豊さににみちた世界だった。
後からわかったんだけど、2020年に、みんなが気づくよりずっと前のこと。
人々が創った会社は世界中に広がり、貿易は拡大するばかり。
ほしいものは、クリック一つですぐに手に入る。
気が付くと、家族は会話を失い、仕事と家庭のバランスもめちゃめちゃに。
子どもはスクリーンに釘付けで、小さな子どもさえ携帯を持っている。
足りないものはないはずなのに、雑音の中で孤独を感じるようになっていた。
日ごとに空はよごれ、星も見えなくなった。
星を見るには飛行機に乗って、地上は車で埋め尽くされた。
一日中車でぐるぐる回り、走ることなどとうに忘れた。
草原はタールで固め、公園は次々と消滅。
ごみの規制もなく、海はビニールでいっぱい。
魚釣りをすれば、すでにビニールまみれの魚がかかる。
人々は、酒を飲み、たばこを吸い、キャンブルにはまる。
指導者たちは、おかみにに逆らわずに黙って死んで行けという。

But then in 2020, a new virus came our way.                                                               
The government reacted and told us all to hide away.

But while we were all hidden, amidst the fear and all the while,                           
The people dusted off their instincts, they remembered how to smile.

They started clapping to say thank you, and calling up their mums. 
And while the the cars keys were gathering dust, they would look forward to their runs.

And with the sky less full of planes, the earth began to breathe.                         
And the beaches brought new wildlife that scattered off into the seas.

Some people started dancing, some were singing, some were baking.         
We’d grown so used to bad news but some good news was in the making.

And so when we found the cure and were allowed to go outside,                       
We all preferred the world we found to the one we’d left behind.

Old habits became extinct, and they made way for the new.                               
And every simple act of kindness was now given its due.

でも、そんなときだった、2020年のウイルスがやってきたのは。
政府は対策を講じて、みんなに閉じこもるようにと告げた。
誰もが恐怖におびえながら隠れていたが、
ほこりをかぶっていた本能を取り戻し、笑い方を思い出した。
心からありがとうの言葉を口にし、お母さんにも電話をかけ始めた。
車のキーはほこりにまみれたが、走りに出かけることを心待ちにするようになった。
海辺で生まれた野生動物たちは海に散らばっていった。
自宅待機の中、ダンスを始めたり、歌を歌ったり、パン作りを始める人もいた。
悪いニュースになれてしまっていたが、いいニュースが出まわり始めた。
やっと治療薬が見つかって、外に出てもいいことになった。
ところが、みんな、以前の世界よりも、今の新しい世界の方が好きだと気づいた。
ウイルス以前の昔の暮らしは消え去り、新しい生活に変わった。
どんなに小さな’親切にも、感謝の気持ちを持つようになった。

”But why did it take a virus to bring the people back together?’                     
“Well, sometimes, you got to get sick, my boy, before you start feeling better.”

Now lie down, and dream of tomorrow, and all the things that we can do.     
And who knows, maybe if you dream strong enough, make some of them will come true.

We now call it the Great Realisation, and yes, since then there have been many.

But that’s the story of how it started, and why hindsight’s 2020.’

「でも、なんでみんなが仲良くするためにウイルスが必要だったの?」
「時には、健康を取り戻すには、一度病気にならないといけないんだよ。」
さあ、もう寝て、明日の夢を見よう。明日かなえられるいろんな夢を。
心から願えば、本当にかなう夢があるかもしれないよ。
今では、このことを「偉大なる気づき」って呼んでいるんだ、それ以来、もう何度も起きてるけどね。
でも、これがすべての始まり、2020年に初めてわかったこと。

Connecting the Dots 点と点をつなぐ

この『The Great Realisation』を見ると、Steve Jobs が2005年にスタンフォード大学の卒業式で語った言葉、”Connecting the dots”を思い出さずにはいられません。人生で最悪だと思ったことが、10年後に振り返ってみると、未来の自分にとって必要な試練であったり、結果として、以前は想像もつかなかった大きな成果を生み出すことにつながるというのは、後からしかわからないことです。

 ”…you can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backward. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.”
「先を見通して、点と点をつなぐことはできません。後から振り返って初めてつなげることができるのです。ですから、皆さんは、点と点が将来どうにかしてつながると信じなくてはなりません。」

Steve Jobs – Connecting The Dots – Motivational Video

Tom Roberts本人も語っていますが、決してコロナのパンデミックを美化しているわけでもなければ、この先、バラ色の未来が待っているなどというNaiveなことを言っているのではありません。

楽観的過ぎると言われても、ワラにもすがる思いで、希望的な未来を信じたいだけなのでしょうか。
いずれにせよ、この『The Great Realisation』を見ると、実際に、乗り越えられるような希望が湧いてくるのは確かです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました